(1)ソフトバンク社債発行の理由
ソフトバンクは7000億円以上の個人向け社債の発行を行います。ソフトバンクは社債による資金調達を金融戦略で重視してきましたので、昨年のイーモバイル買収や2スプリント買収資金の調達のために資金需要があります。
資金調達は銀行融資や新株発行など様々な手法がありますが、ソフトバンクが社債による資金調達を重視している理由について簡単に見てみましょう。
(2)金融戦略と社債発行のメリット
- 株式を発行すれば既存株主の1株利益が減少する
- 転換社債は既存株主の1株利益減少の可能性がある
- 銀行融資は資金使途が限定される
ソフトバンクが金融戦略で、社債発行のメリットを考えて2013年に7000億円以上の社債による資金調達を行っていると考えることができます。
- 過去の社債償還資金を確保
- 長期金利上昇の前に割安な金利で資金調達
ソフトバンク41回社債金利の比較を見ると、財務体質は良好になっていますが、他社と比較すると金利は高くなっています。ソフトバンクは、多額の個人向け社債を発行したとしても、個人投資家は投資資金の運用ニーズがあると判断して、金利が割安のうちに多額の資金調達を決めています。
(3)ソフトバンク43回社債の金利1.74%
ソフトバンクが43回社債金利の利率を、2013年6月3日に発表しているので見てみましょう。- 発行総額 金4,000億円
- 各社債の金額 金100万円
- 利率 年1.74%
- 払込金額 各社債の金額100円につき金100円
- 償還金額 各社債の金額100円につき金100円
- 年限 5年
- 償還期限 2018年6月20日
- 償還方法 満期一括償還。ただし、買入消却は、払込期日の翌日以降、振替機関が別途定める場合を除き、いつでも実施可能。
- 利払日 毎年6月20日および12月20日
- 申込期間 2013年6月4日から2013年6月19日まで
- 払込期日 2013年6月20日
- 募集の方法 国内での一般募集
- 募集の対象 主に個人投資家
- 担保 本社債には担保および保証は付されておらず、また本社債のために特に留保されている資産はない。
- 財務上の特約 「担保提供制限条項」「担付切換条項」「純資産額維持条項」が付されている。
- 取得格付 A(格下げ方向でクレジット・モニター指定中/株式会社日本格付研究所)
(4)社債引受の証券会社
- 大和証券株式会社
- 野村證券株式会社
- みずほ証券株式会社
- SMBC日興証券株式会社
- 三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社
- 株式会社SBI証券
- 岩井コスモ証券株式会社
- 岡三証券株式会社
- 東海東京証券株式会社
(5)社債の資金使途は買収資金と社債償還、借入金の返済資金
米国スプリント・ネクステル・コーポレーション(以下「スプリント」)の事業に対する投資資金の一部、当社社債の償還資金の一部および既存借入金の返済資金の一部に充当予定。ソフトバンクは社債の資金使途について、上記のように明示しています。スプリントへの投資資金はドル建てになりますので、為替レート変動に応じてかわりますね。
ソフトバンクは43回社債金利の利率を発表しましたが、個人投資家の根強い人気がありますので、過去最大の個人向け社債の販売動向に注目ですね。
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