(1)個人向け社債を発行
ソフトバンクの個人向け社債の発行金額が、過去最大規模となりそうなことを2013年2月6日の日経新聞15面が報じているので見てみましょう。ソフトバンクは3月にも、個人投資家向け社債3000億円を発行する。事業会社の個人向け社債としては過去最大の規模になる見通しだ。期間は4年。低金利の発行環境を生かし、米携帯電話3位のスプリント・ネクステルを買収する資金に充てる。ソフトバンクが個人向け社債を発行するようですが、過去最大規模の発行になるようです。ソフトバンクの発行する社債について簡単にまとめてみます。
(2)低金利と買収資金分散が目的
スプリント買収資金
- 個人投資家向け社債
- 発行金額3000億円の見込み
- 期間4年
- 金利1%台半ばの見込み(市場金利が現状から大きく動かなければ)
- 格付けはシングルA(JCR) 1段階下がる可能性あり
- スプリント・ネクステルの買収資金
ソフトバンクが円建で調達する理由
ソフトバンクがアメリカ企業を買収するのに、円建てで資金調達する理由が気になった方はいるのではないでしょうか。ソフトバンクは為替レート円安の影響を最小限に抑えるために、為替予約をすでに行っており、円建てで調達するのでしょう。(3)社債発行で買収資金を分散させる理由
ソフトバンクは今年半ばをメドに約201億ドル(約1兆6900億円)でスプリントを買収する予定。金融機関からの借入に加え、社債発行で調達する資金も買収などに充てる。調達先を分散させる方針をとっており、個人の社債への関心が高いと判断した。ソフトバンク銀行融資とスプリント買収(7)で、ソフトバンクのスプリント買収資金を融資した銀行と証券会社についてまとめました。ソフトバンクは、スプリント買収後も1兆円以上の手元資金を確保する見通しですが、社債の発行によりさらにお金を積みましています。
ソフトバンクは社債発行により、機動的な設備投資や次の買収に備えるのに十分な手元資金を確保すると言えるのではないでしょうか。
(4)格付は高い水準を確保
日本格付研究所(JCR)は1日、現在シングルAであるソフトバンクの長期発行体格付けについて「好調な既存事業のキャッシュフロー創出力を考慮すれば、格下げするとしても1段階程度に止まる可能性が高い」と発表した。
大型買収で懸念された格付けの見通しが落ち着いてきたことも、大型の個人向け社債発行に踏み切る背景にあるとみられる。ソフトバンクは、スプリント買収による財務への影響が懸念されましたが、悪影響は限定的に留まりそうです。ソフトバンク株価と業績は利益が過去最高であり、業績好調であることも格付けが高い水準である理由なのでしょう。
(5)金利は1%半ばと低い
市場金利が大きく動かなければ、発行条件は1%半ばになりそう。ソフトバンクの格付けが高いため、市場金利に対する社債の上乗せ金利は低い水準で収まりそうですね。ソフトバンク社債の発行規模を考えると、1%半ばの金利は、かなりよい資金調達の条件ではないでしょうか。
ソフトバンク第29回無担保社債発行に関するお知らせを見てみましょう。
- 2009年9月社債発行
- 発行総額650億円
- 利率は年4.52%
(6)社債発行は過去最大の倍
事業会社として過去最大の個人向け社債は、同社が2010年に発行した1300億円だった。今回の発行額はそれを上回る規模となる。主幹事には野村證券など5社を指名した。ソフトバンクの個人向け社債は、過去最大の倍以上の規模になるようですね。先ほど、ソフトバンクが以前、発行した社債の金利と比較しましたが、それだけ条件がよいということなのでしょう。
(7)ソフトバンクは業績好調
ソフトバンクの13年3月期の連結営業利益は前期比4%増の7000億円以上になる見通し。孫正義社長は「来期はスプリントの買収が負担となるが、15年3月期には過去最高を更新するとの見通しを示している。」ソフトバンク株価と業績は利益が過去最高であり、業績は問題がなさそうですね。ソフトバンクが個人向け社債を過去最大規模で発行するのは、金利が低くても、業績に問題がないと投資家が判断すると考えているのかもしれないですね。ソフトバンク金融戦略と資金調達(5)を見ると、社債はすぐに売り切れたようですね。 スポンサードリンク
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