KDDIとソフトバンク買収の違い(9)

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KDDIとソフトバンク買収の違いについて見ると、資本の戦略がかなり違う事が分かります。KDDIはソフトバンクと比較すると、堅実に利益を獲得しているのかもしれないですね。

(1)社長の違い

前回、ソフトバンクとKDDI社長の違い(8)は、ソフトバンク孫正義社長とKDDI田中社長の違いを見ました。
  • KDDI田中社長 サラリーマン
  • ソフトバンク 孫正義社長 創業者で大株主
KDDIとソフトバンクは日本を代表する、巨大通信企業ですが会社と経営者が、かなり違うと感じる方が多いのではないでしょうか。ソフトバンク社債発行が最大規模の理由は、借入に頼らずにリスクをとって買収や設備投資を引き続き行う可能性を感じます。

ソフトバンクのスプリント買収に対して、KDDIの買収戦略の中身について、2012年11月8日の日本経済新聞が報じているので見てみましょう。

(2)住友商事とケーブルTV事業統合

これをスプリント成長の根拠と見なかった田中は2年9カ月かけた懸案の仕上げに入っていた。住友商事とのCATV事業統合だ。
KDDIは、住友商事とのケーブルTV事業統合を発表しています。ソフトバンク銀行融資とスプリント買収(7)に対して、銀行が1週間で融資決定を行ったことを考えると、2年9ヶ月は長く感じます。

(3)JCOM出資とケーブルTV子会社合併

2010年に出資したCATV首位のジュピターテレコム(JCOM)を巡り、筆頭株主の住商とKDDIは主導権を争っていた。数十回にわたる協議の末、JCOMを折半出資としたうえで来年秋にKDDIのCATV子会社を合併させることで合意。
KDDIと住友商事は、JCOMの子会社化を巡って協議を続けていましたが、ようやく決着がついたようです。
  • 2010年にJCOMに出資
  • 筆頭株主は住友商事
  • KDDIと住友商事は数十回協議
  • KDDIはCATV子会社を合併
  • KDDIは数百億円の多額の利益(後述)
ソフトバンクとKDDIの資本戦略を見ると、スピード感と手堅さが、かなり違うと感じる方がいるのではないでしょうか。KDDIは、これにより多額の利益を得ますが、利益については後述します。

(4)株主間協定で、最終決定権を取り付け

「意見が割れた場合はKDDIに最終決定権がある」との株主間協定も取り付けた。
大株主が複数いる場合、身近な活動と同じで最終決定者が決まっていなければ、議論が迷走する事があると思います。KDDIが、最終決定権を取り付けたのであれば、新会社のリスクは減少したと言えるのではないでしょうか。

(5)市場シェアは5割超

KDDIはシェア5割超のCATV網を使い、料金割引や動画配信など携帯電話との連携を広げる。
ソフトバンクと違い、KDDIはケーブルテレビでシェア5割を持っています。

管理人の私見ですが、携帯電話とケーブルテレビの連携は、どれほどの効果があるのでしょうか。動画配信であれば、Youtubeやユーストリームなどがある事を考えると、いまひとつイメージが湧きません。

(6)ソフトバンクとKDDIの違い

同24日の決算発表、田中は「我々は規模の追求を優先しない」と語った。ある幹部は複雑な表情でつぶやく。「KDDIは普通の会社。どこかの派手な会社とは違う
ソフトバンクとKDDIの違いとして象徴的なのは、KDDI田中社長の規模の追求を優先しないという発言ではないでしょうか。孫正義イーアクセス買収の真相(5)は、ソフトバンクとKDDIの意思決定のスピードでした。

(7)利益と資本戦略

ソフトバンクのスプリント買収は派手ですが、KDDIのケーブルTV事業再編は財務面でも堅実です。
KDDIの資本戦略についてブルームバーグが、2012年10月25日に住友商とKDDI:JCOMに計2160億円のTOB、来秋折半出資へと報じています。
これまで住友商出身者が占めてきた社長職は14年1月から、KDDIが指名する。 
TOBで709億円の支出を迫られるが、信託設定保有のJCOM株4.2%売却で300億円、JCN売却で1050億円の収入が見込め「税金134億円を考慮しても実質507億円のキャッシュイン」になるため。 
大澤氏は会見後に記者団に対し、統合後のJCOMの純利益が「2年後に500億円を超える水準」に達するとの見通しを示した。
KDDIは、JCOMと子会社のジャパンケーブルネット(JCN)株式を売却で数百億円の利益を得ると同時に、新会社の経営権を獲得します。

KDDIとソフトバンクの買収戦略は、堅実性とスピード感いう点から見るとかなり違う事が分かるのではないでしょうか。ドコモ海外買収とソフトバンク大株主の違い(10)に続く。
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