(1)ソフトバンクとKDDIの違い
ソフトバンクとKDDIの違いを見ると、買収戦略やファイナンスで会社や社長の考え方に違いがあることが分かると思います。ソフトバンクとKDDIの買収戦略は、どちらも正解なのでしょうし、株式市場の評価や数年後の業績により評価が決まるのではないでしょうか。ドコモは、日本の通信業界で最大の会社です。ドコモの海外企業買収戦略は、投資失敗とNTT持ち株会社が買収戦略に影響を与えている事が、2012年11月9日の日経新聞で分かります。
(2)ドコモは海外進出をどうするのか
ソフトバンクの米スプリント・ネクステル買収が明らかになった10月12日。自民党の情報通信の関係議員が総務省の幹部を呼び出した。
「ソフトバンクが海外に進出するのをNTTドコモは指をくわえてみているのか」ソフトバンクの海外企業買収に対して、ドコモの海外投資はどうするのか政治家から問われたようです。ドコモの財務基盤は、自己資本比率が70%を超えており、豊富な現金を保有しています。
(3)ドコモの海外投資失敗
ドコモは2000年前後に米AT&Tワイヤレスなどに計2兆円を出資し、1兆円以上の損失を出し撤退した。NTTグループ首脳陣には今なお強烈なトラウマとなっている。ドコモの海外投資を行った時期を見ると、IT株バブルで株価が最も高かったときに投資しているのが分かります。ドコモは、2兆円出資して1兆円以上の損失ということは、海外投資は失敗と言われても仕方がないですね。
(4)ドコモ海外買収とNTT持ち株会社
今春、ドコモ社長だった山田隆持(64)は海外への再挑戦を計画していた。オーストラリアの大手携帯電話会社への出資だ。しかし26%出資するインドのタタ・テレサービシズは赤字続き。
これを失敗とみなすNTT持ち株会社首脳から待ったがかかった。「海外の通信会社にカネを出す時代じゃない」ドコモが海外買収を検討したことに対して、NTT持ち株会社から指摘があったようです。
- 26%出資のインド通信企業が赤字
- オーストラリアの大手携帯電話会社への出資検討
- NTT持ち株会社首脳が出資に待った
(5)NTT持ち株会社はドコモの親会社
NTT子会社への出資比率とドコモ
NTT持ち株会社とドコモは、どちらも上場していますが、NTT持ち株会社はドコモの親会社になります。NTT子会社の主要企業を一部抜き出したのが下記です- NTT持ち株会社 筆頭株主は国(親会社。以下は子会社)
- NTTドコモ 出資比率 約66% 東証一部上場企業
- NTTデータ 出資比率 約54% 東証一部上場企業
- NTT東日本 出資比率100%
- NTT西日本 出資比率100%
ドコモとソフトバンクモバイルの違い
ソフトバンク株価と業績は利益が過去最高ですが、ソフトバンクモバイルは100%出資子会社であり、ソフトバンクの利益に大きく貢献しており、社長は孫正義社長です。ドコモは、NTT持ち株会社が圧倒的な筆頭株主であり、NTT持ち株会社の意向に左右されます。ドコモは、NTT持ち株会社の利益のほとんどを占めているため、ドコモが海外買収で失敗するリスクよりも着実な利益を選んだのでしょう。
(6)日本の顧客サービスを重視
「日本の顧客へのサービスを第一に考える」。10月26日の決算発表でドコモ現社長の加藤薫(61)は平静を装った。「週末は働かない」と公言する加藤。しかしソフトバンクがイー・アクセス買収を決めると週末に主だった幹部を集めて都内で合宿した。「我々はサービス企業への進化を目指す」ドコモは、日本の顧客へのサービスを重視する姿勢を示していますが、2013年からはじまったCMは様々な評価が入り混じっているようです。
ドコモは海外買収に消極的ですが、日本国内の通信市場は3社の寡占であり、飽和状態であると言われています。ソフトバンクは海外買収を決断しましたが、ドコモは上場子会社のため経営判断に制約があったようですね。(続く) スポンサードリンク
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