(1)ソフトバンク銀行借入の成功
銀行との交渉に成功
前回、ソフトバンク銀行融資とスプリント買収(7)にまとめました。ソフトバンクの1兆円を超えるスプリント買収資金の融資要請に対して、銀行が1週間という短期間で融資決定を行っています。ソフトバンクの孫正義社長は、銀行に対して海外企業の買収をかなり早くから説明していたことが、短期間でのファイナンス成功に結びついています。
手元資金を十分に確保
ソフトバンクは、スプリント買収資金の借入成功により、手元資金1兆円確保に成功しています。ソフトバンク社債発行が最大規模の理由を見ると、社債発行が成功すれば、手元資金は磐石に近くなるのかもしれません。ソフトバンクのスプリント買収とイー・アクセス買収に対して、KDDIが異なる見方をしていることを2012年11月8日の日本経済新聞が報じているので、見てみましょう。
(2)KDDI、イー・アクセス買収を断念
10月1日月曜日の午前7時、東京・飯田橋のKDDI本社。社長の田中孝司(55)は喫煙所でたばこをもみ消すと会議室に入り、居並ぶ幹部に告げた。「今日の午後、他社が大きな発表をする」。ソフトバンクと争ったイー・アクセスの買収。金曜日に田中はKDDIが劣勢との情報を得ていたが対抗策を見送った。
「これ以上の条件を出す案件じゃない」KDDIはソフトバンクとイー・アクセス買収について、競合していました。
KDDIのイーアクセス買収条件は、ソフトバンクよりも一株当たりは高い金額を提示していたものの、資産査定を条件にしていました。ソフトバンクの買収に対して、KDDIが対抗条件を出さなかったという事は、イーアクセスの買収価格に疑問を感じていたのでしょう。
(3)KDDI社員に田中社長が呼びかけ
午前9時、田中は社員にネット動画で呼び掛けた。「iPhone(アイフォーン)5を追い風に9月はソフトバンクから前月の3倍の顧客を獲得した」。ソフトバンクとイー・アクセスの共同記者会見の前に士気の鼓舞を狙った。KDDIは、iPhone5販売によりソフトバンクからの顧客獲得数を3倍に増やしたようです。しかし、KDDIの販売数増加よりも、ソフトバンクのスプリント買収の方に注目が集まったようです。
(4)KDDI田中社長とソフトバンク孫社長の違い
KDDIにも買収の話があった
田中のいらだちが頂点に達したのは同17日のKDDIの冬モデル 商品の発表会。2日前にソフトバンクが発表した米スプリント・ネクステルの買収について質問攻めにされた田中はこう言い放った。「スプリントの話は当社にも来ていたが買うメリットはなかった」KDDIの田中社長は、スプリントに対してソフトバンクの孫正義社長と異なる見解を述べています。KDDI田中社長は、スプリントはの業績が悪化している事を指摘していると思います。
大株主の創業者社長とサラリーマン社長との違い
- ソフトバンク 孫正義社長 創業者で大株主
- KDDI田中社長 サラリーマン
(5)ソフトバンクの買収価格と業績不調
ソフトバンク社長の孫正義(55)と異なる評価を下した田中。「本当に安い買い物か」(KDDI幹部)との疑問は単なる負け惜しみとは言い難い。ソフトバンクが取得するイー・アクセスの株式評価額は買収合意時点の3.5倍。スプリントは5期連続の赤字に苦しむ。ソフトバンクは、イー・アクセスとスプリント買収を発表しましたが、何れも問題があります。
- イー・アクセスの株式買収価格は3.5倍
- スプリントの買収は5期連続の赤字の環境
(6)孫正義社長スプリント買収について発言
スプリント株の買収価格は割安
「スプリントは割安。今が買い時なんです」。
孫は買収発表から何度もこう言う。iPhoneの大量買い取りでスプリントに生じた会計上の負担の軽減が見込め、旧ネクステルから引き継いだ設備の重複投資が無くなることなどが理由だ。ソフトバンクの孫正義社長は、スプリントは割安と発言しています。
ソフトバンクが高株価で買収する理由
- イー・アクセスの株式買収は、iPhone5のデザリングに必要であり電波改善に好影響
- スプリントの買収は設備の重複投資などが要因
ソフトバンク孫正義社長とKDDIの田中社長を比較すると、チャンスとリスクをどう見るのか、大きく違う事が分かるのではないでしょうか。KDDIとソフトバンク買収の違い(9)に続く。 スポンサードリンク
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