(1)ソフトバンクとドコモの信用力に差
ソフトバンクとドコモの利益は差が縮まっていますが、社債の金利を見ると信用力に差があることが分かります。ソフトバンクは返済が見込める水準ですが有利子負債が多く、ドコモは実質無借金です。ソフトバンクとドコモの事業領域を考えると、ソフトバンクは競争の激しいIT業界も含まれているのに対して、ドコモは安定的に高い利益を生み出す携帯電話事業が主力です。両社を比較するときに、利益水準とは別に頭に入れておくポイントになるのではないでしょうか。
(2)孫正義社長の発言とボーダフォン買収
ソフトバンクとドコモ利益の比較などの分析を、週刊ダイヤモンド2013年3月30日号ソフトバンクがドコモを抜く日で特集を行っているので見てみましょう。
「NTTドコモを10年以内に抜く」ソフトバンクは、ボーダフォンジャパン買収により携帯電話事業に参入しましたが、7年前の出来事のようですね。ソフトバンクが買収前の、ボーダフォンはNTTドコモのブランド力を前に、一人負けの状態でした。
振り返ること7年前。ソフトバンクの孫正義社長は、ボーダフォン日本法人を買収した際、こんなふうにぶち上げた。
(3)携帯電話市場はドコモの独占状態
当時はいわゆるガラケーの全盛期で、携帯電話市場はドコモの独占状態。「孫社長の言うことは夢物語」と、額面通りに受け取る者などないに等しかった。ソフトバンクが携帯電話市場に参入したころは、ドコモの独占状態であり圧倒的な支配力があったことを覚えている方が多いと思います。ドコモは、現在でも携帯電話市場で過半数のシェアを持っており競争力があることは間違いないですね。
(4)ソフトバンク営業利益は8000億円を視野
しかし2013年3月期、ソフトバンクの国内営業利益は、前期比8%増となる7300億円を超える水準が見込まれており、「加入者の伸びがこのまま続けば、来期は8000億円さえ達成可能」(津坂徹郎・モルガンスタンレーMUFG証券アナリスト)といわれるほどにまで成長を果たしている。ソフトバンク株価と業績は利益が過去最高を予想しており、営業利益は高い水準が見込まれています。ソフトバンクの2013年度業績予想に、ソフトバンク ガンホー子会社化TOBの仕組みでまとめましたが、ガンホー子会社化による有価証券評価益1700億円が加わる可能性があります。
(5)ドコモの営業利益と販売促進費
これに対し、ドコモの営業利益は今期6.2%減の8200億円と見込まれている。だが来期は、スマートフォンの普及を狙って端末代金を月々の通信料から割り引くサービスの負担が重くのしかかるため、7000億円台後半となりそう。ドコモは携帯電話の販売に苦戦しており、利益が減少していますが、来期は販売促進費の増加により利益減少が見込まれているようですね。
ドコモはXperia Zの販売が好調ですので、人気が続けば販売促進費が減少することで利益の水準場伸びるのかどうかに注目ですね。
(6)ソフトバンクはドコモの営業利益を追い抜くか
つまり孫社長の宣言より2年も早く、ソフトバンクがドコモを国内利益で抜きそうなのだ。ソフトバンクがドコモの営業利益を追い抜くのかどうか、注目が集まりそうですね。ソフトバンクとドコモの業績を比較する際に重要なのは、営業利益で比較されていることであり、最終利益で見ると財務体質の良好なドコモと大きな差があります。ソフトバンク利益増加の理由(2)に続く。 スポンサードリンク
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