孫正義イーアクセス買収の真相(5)

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孫正義社長が、イーアクセス買収をできた理由として買収価格を指摘する人もいました。イーアクセス買収交渉の真相を見ると、KDDIのほうが買収価格は高いため、スピードが重要であった事が分かります。

(1)イーアクセス買収の背景

ソフトバンク、イーアクセス買収のライバル(4)にKDDIと楽天がいる事を紹介しました。
  • ソフトバンク 1株5万2000円の買収価格を提示
  • KDDI 1株6万円の買収価格を提示
  • 楽天 共同記者会見
ソフトバンクはiPhone5のデザリングを発表しましたが通信の安定の為に、電波の確保が不可欠になります。ソフトバンク孫正義社長とイーアクセス千元会長の交渉について、2012年11月6日の日経新聞が報じているので見てみましょう。

(2)ゴールドマンサックス証券と買収交渉

翌日から孫は何度も千本のもとに足を運ぶ。「イー・アクセスの電波が欲しい」 (日経新聞)
イー・アクセス筆頭株主の米ゴールドマン・サックス(GS)は投資回収を急ぎ、早くからKDDIに接触していた。GSの言い値は1株6万円とKDDIの想定と大きく隔たる。孫はそこを突き1株5万2千円を一発提示した。当時のイー・アクセスの株価の3.5倍だ。(日経新聞)
株式を最も持つ筆頭株主は、外資系証券会社のゴールドマンサックス証券です。
  • 投資利益は一定の期間で見る
  • 投資案件で新しくよいものがあれば、既存の投資案件は売却して乗り換える
  • 投資の利益は可能な限り追求する
投資の収益率は、一定の期間(例えば一年)で見ます。投資の利益を追求するのは当然ですが、投資の利益をできるだけ短い期間で回収することが重要になります。

ゴールドマンサックス証券にとって、KDDIと金額に差があるなかで、孫正義社長の提案は魅力的にうつったのでしょう。

(3)KDDIは資産評価 デューデリジェンスを提案

KDDIは資産評価を要求

対する田中も1株6万円を提示 、ただ条件をつけた。「買収までに本格的な資産評価をしたい」。(日経新聞)
イーアクセスは上場している巨大企業ですので、資産評価は、すぐに終わりません。さらに、資産評価の後に企業価値を算定することになりますが、企業価値算定は複数の方法があるため、落としどころが難しく、交渉はすぐに終わらないでしょう。

イーアクセス取締役会の資産評価に対する印象

9月28日のイー・アクセス取締役会。「KDDIの条件を後日の評価引き下げのサインと見た」と関係者はいう。(日経新聞)
イーアクセスの取締役会は、KDDIからの提案は時間稼ぎと粗探しと考えたのでしょうか。イーアクセスの役員を見ると、ゴールドマンサックス証券の影響力が分かります。イーアクセスの取締役会のメンバーを見ると、その影響力の大きさを測ることができます。

イーアクセス取締役とゴールドマンサックス証券出身者

  • エリック・ガン代表取締役社長 ゴールドマンサックス証券の出身
  • アンクル・サフ社外取締役 ゴールドマンサックス証券
つまり、イーアクセス取締役会は創業者の千本会長の意向だけでなく、筆頭株主のゴールドマンサック証券の意向が強く働いていた可能性が分かります。ゴールドマンサックス証券は、イーアクセス株の売却を望んでいたので、孫正義社長の素早い決断は魅力的に写ったのでしょう。

(4)ソフトバンク孫とイーアクセス千本の駆け引き

ソフトバンク優勢を聞いた孫はその夜「すぐ契約してくれ」と千本に迫った。ホテルを予約し万年筆を2本用意した。しかし「決定は10月1日」と千本は現れなかった。KDDIと楽天が巻き返す余地はまだあった。(日経新聞)
ソフトバンクの孫社長と同じく、イーアクセスの千本会長は、ベンチャー企業家として有名人です。
  • 孫正義社長 ホテルを予約し万年筆を2本用意
  • 千本会長 「決定は10月1日」と千本は現れなかった。
管理人の私見ですが、二人は日本を代表する企業家であり、投資や株式売却について、駆け引きを知り尽くしている点が浮かび上がっているのではないでしょうか。

ソフトバンク支払利息激増 買収で3000億円を見ると、ソフトバンクは買収チャンスを積極的に生かしていることが有利子負債からも分かります。日本は記録的な低金利が指摘されていますが、ソフトバンクは銀行融資や社債発行などを積極的に行っており、企業の成長に成功していることが分かりますね。

(5)イーアクセスがソフトバンクを選んだ理由

1日夕方の記者会見。千本はソフトバンクを選んだ理由を「スピード感」と語った。孫は後出しジャンケンに勝った。ソフトバンクが株式交換で取得するイー・アクセス全株式の評価額は1800億円。 
「企業価値を高めてくれた」。 
千本には投資家らから祝福メールが届いた。大株主の千本も巨額の資金を手に する。壇上で千本は満面の笑みを浮かべた。
ゴールドマンサックス証券の提示した条件と、ソフトバンクやKDDIが提示した条件を比較してみましょう。ソフトバンクの孫正義社長は、ゴールドマンサックスを相手に巧みな買収交渉を行っていることが分かります。

スーパーセルとブライトスター ソフトバンク買収の理由を分析しましたが、ソフトバンクはM&Aを世界中で繰り返していますが、イーアクセス買収時点でブライトスターの買収戦略を検討していたのか気になりますね。イーアクセス買収後にスプリントやブライトスターを買収していますので、端末の調達価格が安くなることで、利益増加の恩恵がありそうですね。

ソフトバンク ヤフーにイーアクセス売却理由をまとめましたが、2012年10月に買収発表はありましたが、2014年6月に売却を行う予定になっています。ソフトバンクは、イーアクセス買収によって電波品質の向上に成功した上に、ヤフーへの売却によって新たな投資資金を獲得していますね。

(6)孫正義社長がイーアクセスを買収できたのはスピード

  • ゴールドマンサックス証券 1株6万円
  • ソフトバンク 1株5万2000円
  • KDDI 1株6万円 ただし、資産評価を行うため時間がかかる
イーアクセス買収の真相を見ると、金額はKDDIがソフトバンクよりも高いので、スピードであった事が分かります。

孫正義社長は、イーアクセス買収に時価の3.5倍の株価を提示しましたが、買収の真相はスピードであったようですね。ソフトバンクの孫正義社長は創業者かつ大株主ですので、サラリーマン社長のKDDIと決断速度で差がでたのかもしれません。

イーアクセス株の売却価格が、1株6万円に届かなかったものの、千本会長は企業価値を高めた賞賛されている点からも分かると思います。孫正義5兆円買収とみずほ銀行(6)に続く。
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